母の認知症7年目、家族信託をして感じたこと

親の介護

3ヶ月前に動き始めた家族信託の手続きが、先日、司法書士さんから「不動産登記権利情報」が届いたことで、すべて完了しました。

司法書士事務所を探すところから始まり、

・初回無料相談
・正式に依頼
・公証役場での家族信託契約の締結
・信託口口座の開設

という流れで進んだ今回の家族信託。

司法書士事務所に依頼したのは、

・信託契約書の作成
・不動産の所有権移転(信託)の登記申請

です。

手続きがすべて終わった今、改めて、なぜ家族信託をすることにしたのか、そして実際にやってみて感じたことを書いてみたいと思います。

家族信託をすることになった経緯については、前回の記事に詳しく書いています。

家族信託は、親の認知症などに備える方法のひとつで、

「親が元気なうちに、子どもなど信頼できる家族に財産の管理を託す仕組み」

と言われています。

成年後見制度という方法もありますが、できることなら母の財産は、家族の中で管理していきたい。

そう考えて、私が母の資産管理をすることになりました。

母が認知症と診断されたとき、この話を持ちかけてくれたのは弟でした。

そのため、家族信託についての考えは、比較的早い段階から家族の中で共有できていました。

私の中では、もし母の判断能力が低下した場合でも、財産管理が難しくなることに備えられる。

そして将来、施設に入ることになったときには、必要に応じて自宅を売却したり、貸したりすることもできる。

そんなイメージでした。

それだけでも、母の認知症の先が見えない中では、母にとっても家族にとっても、一つの安心材料になると思っていました。

では、なぜ母が認知症と診断されてから7年たった今、家族信託の手続きに踏み切ったのか。

大きかったのは、母が編み物をしなくなったことでした。

編み物の先生だった母にとって、編み物は人生そのものと言ってもいいくらいのものでした。

そんな母が、少しずつ編み物をしなくなっていきました。

昔の生徒さんから、

「先生、ゲージが読めなくなってきましたね」

と聞いたときは、

やっぱり、認知症が進んできたんだな……

と感じました。

食べたいものを聞いても、

「分からない」

と答えるようになりました。

昔の母なら、

「マックが食べたい」

「うどんは嫌。ラーメンがいい」

なんて、はっきり答えていたのに。

そんな母の変化を感じるようになった頃、病院の先生からも、

「今なら、家族信託の契約はギリギリでしょう。2、3年後では難しいと思います」

と言われました。

その言葉を聞いて、やっと認知症の現実を実感したような気がしました。

そして、ようやく動き出すことにしました。

今回、一番大変だったのは、司法書士事務所を探すことでした。

以前、知人から紹介してもらった司法書士さんに相談したこともありました。

そのときは、

「それぐらいの資産なら、家族信託の必要はないですよ」

と、はっきり言われました。

そうなのかもしれません。

もしかしたら、このままでも特に問題なく過ごせるのかもしれない。

でも、母の土地は道路拡張計画の対象になっています。

いつ、その事業が動き出すかも分かりません。

いざというときに慌てたくない。

「備えあれば憂いなし」

私は、できるだけ不安材料を残しておきたくありませんでした。

そこで、改めて自分たちで司法書士事務所を探すことにしました。

母の土地がある広島県福山市と、私たちが暮らしている福岡市の司法書士事務所、数カ所に、夫と一緒に電話をして、家族信託の実績や費用について聞きました。

そして、見積もりを比較してみると……。

これが、また驚くほどの差でした。

福山市と福岡市では、なんと50〜60万円ほどの差。

交通費を考えても、福山の司法書士事務所にお願いしたほうが、かなり安くなります。

「それなら、母の故郷に旅行するつもりで行こう」

そう思い、初回の無料相談で福山まで伺いました。

実際にお会いしてみると、とても話しやすく、親身になって相談に乗ってくださいました。

ここなら、納得できる家族信託契約ができそう。

そう思い、こちらの司法書士事務所にお願いすることにしました。

司法書士事務所が決まってからは、必要な書類を提出し、細かな手続きは司法書士さんにお任せ。

とてもスムーズに進めることができました。

母はよく、

「100歳まで生きるかも!」

と言います。

でも、母方は長寿の家系でもあるので、まんざら冗談ではないかもしれません。

私に何かあった場合のことも準備しておきたいと思いました。

そこで、第二受託者、そしてその先まで明記してもらいました。

また、相続についても、母が元気だった頃に自分で書いていた手書きの遺言書の内容を、できるだけ反映してもらいました。

細かすぎるかな?と思いましたが、気になることはすべて相談して、一つひとつ整理していくことで、納得のいく家族信託契約を結ぶことができました。

母の財産を守り、私に万が一のことがあっても、その後の家族の負担を少なくしながら、母の将来に備えることができた。

そう思えることが、今の私には大きな安心となりました。

これからも、母の認知症が少しずつ進んでいく中で、心配なことは出てくると思います。

それでも、今できる準備をしたことで、これからは今の母の生活に、以前より少し落ち着いた気持ちで向き合えるようになったと感じています。

3ヶ月かかった家族信託の手続き。

すべて終わった今は、まずは無事にここまでできたことに、少しホッとしています。

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